波止場日記――労働と思索 (始まりの本)

  • みすず書房 (2014年9月11日発売)
4.00
  • (12)
  • (20)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 307
感想 : 23
5

美しいほどの洞察に満ちた日記。たまに日記ものは読みたくなる。これと確かまだ手元に未読のウィトゲンシュタインの日記があったはずだ。
松岡正剛はホッファーを「思いやり」という。ちなみにこの本は松丸本舗最終日に買った。

・宗教は貧乏人の夢
・人間が不死となるには、不滅の主義主張を抱くか、または現実に永久に生きるしかない
・自然はまったく機械的で自動である。自然の姿に似せて何かをつくるのは、機械をつくることだ。
・科学とロマン主義の共通点はなにか。明らかに、自然への回帰。ともに「人間性=自然」という等式を前提にしている。

最後のほうの以下の洞察も素晴らしい

・モーゼは奴隷となっているヘブライ民族を自由人にしたかった。しかし、モーゼはよくわきまえていた。奴隷から自由人への変質は自由人から奴隷への変質よりも困難で苦しい。他の多くの根本的変化が必要である。まず第一に、一つの国から別の国への飛躍ー移住。したがって出エジプト。さらに重要なのは、解放奴隷に新たな自己意識と再誕意識を与えること。モーゼの5書全体は、再誕激の上演を扱っている。大団円は何であったか。モーゼは、いかなる移住も、いかなるドラマも、いかなるスペクタクルも、いかなる神話も、いかなる奇跡も、奴隷を自由人に変えないことを発見した。そこで彼は奴隷を砂漠に連れ戻し、奴隷の世代が死に絶え、新しい砂漠で産まれ育った世代が約束の地に入る準備ができるまで40年間待った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年11月24日
読了日 : 2011年11月4日
本棚登録日 : 2018年11月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする