約30年前、ヘッセに引かれて10冊ほどの作品を続けて読んだ。すべて高橋健二訳だった。当時、一番好きだったのは『デミアン』だ。
『シッダルタ』は未読だったので、書店で手に取ってみた。高橋健二訳が馴染み深かったけれど、高橋健二訳と手塚富雄訳があったため、最初の1ページを読み比べてみて、後者がしっくりと来たのでそちらを選んだ。難解な表現も所々あるが、柔らかく流れる、とても美しい訳文だ。
釈迦の生涯を描いたものだと思って読み始めたが、そうではなく、ヘッセ自身の内省から生まれた独自の作品だった。河の声に耳を傾けているうちに、自我が「統一」に融合されていくくだりは、もう少し丁寧に描いてほしかった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年1月2日
- 読了日 : 2021年1月2日
- 本棚登録日 : 2021年1月2日
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