シッダルタ (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2011年8月19日発売)
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本棚登録 : 416
感想 : 42
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約30年前、ヘッセに引かれて10冊ほどの作品を続けて読んだ。すべて高橋健二訳だった。当時、一番好きだったのは『デミアン』だ。
『シッダルタ』は未読だったので、書店で手に取ってみた。高橋健二訳が馴染み深かったけれど、高橋健二訳と手塚富雄訳があったため、最初の1ページを読み比べてみて、後者がしっくりと来たのでそちらを選んだ。難解な表現も所々あるが、柔らかく流れる、とても美しい訳文だ。

釈迦の生涯を描いたものだと思って読み始めたが、そうではなく、ヘッセ自身の内省から生まれた独自の作品だった。河の声に耳を傾けているうちに、自我が「統一」に融合されていくくだりは、もう少し丁寧に描いてほしかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月2日
読了日 : 2021年1月2日
本棚登録日 : 2021年1月2日

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