書き出しはキャッチ-とは言えず、構成も今時のミステリーに比べるとシンプルで特に凝ったギミック等が仕掛けられているわけではないけれど、物語が進むにつれて複数の視点が徐々に収斂する方向へと動き出し、それとともに空気が緊迫していく様が非常にヴィヴィッドかつソリッドだ。
文字を追っていて、映像が目に浮かぶだけでなく、少しずつ緊張感を増すBGMまで聞こえてくるような、そんな気すらする。
事件そのものの真相についてはこの作品に限っては核心ではなく、読了した後に少し振り返って、ああそういうことだったのか、と納得するぐらいが気持ちいい。
一点、ナッシュ兄弟がなぜ2度目の骨髄移植を拒んだのか、その合理的な理由は私には分からなかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
単行本
- 感想投稿日 : 2017年4月18日
- 読了日 : 2017年4月18日
- 本棚登録日 : 2017年4月18日
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