幽霊人命救助隊

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年4月7日発売)
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本棚登録 : 507
感想 : 121
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江戸川乱歩賞を受賞した13階段の高野和明さんの作品。
13階段はほんと面白くて何度も読んでいるのですが、そういえばこの人のほかの作品読んでいないな…と思って6時間後に君は死ぬを読んだけど、それも良かったので次どれにしようかamazonで物色。
レビューをみるといちらほらこの本、「幽霊人命救助隊」と比べたものがあって面白そうだったから借りてみました。

ちまちま読んでいたので時間がかかったけど、大変面白かった。

ありそうで今までなかったタイプの話だった。
4人の自殺した男女が100人の自殺者を救うお話。
4人も若者だけじゃなくオッサンもいるのがいいところ。そうそう、年代はばらばらじゃないとね。
うつ病、借金、恋愛、障害、老後の不安…誰にでも起きるもので悩んでいる人たちを助けるお話。助けたいと思うお話。
よくわからないまま彼らもはじめていきますが、だんだん使命を誇りに思っていく。そして自分たちが自殺してしまったことを考える…
なぜ自殺はダメなのか?辛くなったらどうしたらいいのか?
励まされ、温かくなる本です。

そんなにうまくいかないよ!とも、いったん自殺を思いとどまってもまた自殺したくなるかもしれないとは思いますが、案外ささいな応援で持ちこたえられるのって多いんじゃないかな。

メガホンで応援したり、オレンジのレスキュー衣装だったり、残りの人数が表示する携帯電話があったり、そんな小道具もとても素敵。
文章も読みやすく、いろいろな人がでてきて飽きない。
こんな作品を書ける作家はなかなかいないと思う。

鬱病がよく出てくるが、私もなってしまうと鬱病にならないほうが不思議に思うわ。
些細な絶望からでも鬱病になってしまうけど、鬱病ってこんなにいるんだ、こんなになる可能性もあるだーとわからない人は思うんじゃないかしら。
医者にいって薬をもらえばいい話ではないけど、助けになるのは確か。
ゆっくり休め、頑張るな!と応援してくれる本。それも無責任なかたちではなく。うまく表現したなーと思います。

落ち込んでしまったときに読むと、なんとなくもう少し頑張ってみようかなと思えると思います。
結構長いけど読みやすくていいわー
割と作者なりのアドバイスも見えました。無理に説教くさくもなく、

他の作品も読まないとなーなとなくこの人の作品ははずれがない気がするぞ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(男)
感想投稿日 : 2011年2月3日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年2月3日

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