エッセイ脳: 800字から始まる文章読本

著者 :
  • 中央公論新社 (2010年4月1日発売)
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本棚登録 : 262
感想 : 27
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女性エッセイスト岸本葉子さんのエッセイ指南書。自身のエッセイを題材に、分量は少なくとも読んだ人の気持ちを少し軽く幸せにするようなエッセイはどうすれば書けるのかについて、優しく教授してくれる。

岸本さんのエッセイは、女性らしく繊細な感性と巧みな文章力が相まって、読む人を瑞々しい気持ちにさせてくれる。

人には、賑やかでいかにも楽しそうな出来事やイベントに喜びを見出す人と、何気なく平凡で他の人からすれば何てことないことの中に自分なりの喜びを見出す人の2種類があると思う。(僕はおそらく後者だ)

そして後者の自分なりの喜びに価値を感じる人は、エキサイティングな体験談に興味を持ちこそすれ、そこに共感や喜びを感じることはできない。他人から伝えられるときにもやはり、パーソナルでささやかな出来事や想いに強い幸せを感じるものなのだ。

エッセイが難しいのは、何気なく平凡で普通ならば他の人にわかってもらうことなど難しい個人的ことを、他の人にも共感できる形に料理をし差し出す技術が問われているからだと思う。(普通のスーパーで食材を集めて料理することを求められている家庭料理研究家のようなものか)

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2017年7月27日
本棚登録日 : 2016年6月15日

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