再読。
20年ぶりくらいだろうか。
ブクログでレビューを見かけ読みたくなって、確か実家にあったはずと、立ち寄りついでに探すものの『レベル7』や『蒲生邸事件』はあるのだけれど、本書は見つからず結局図書館で借りる。
あの頃は買って読んでいたはずなんだけどなぁ。
いやぁ、面白い。
間違いなく傑作。
カード破産と戸籍乗っ取りの話だとはおぼろげに記憶していたけれど、真相は覚えていなかったので新鮮な気持ちで楽しめた。
話の筋はたいして複雑ではなく、休職中の警察官である主人公本間の甥が婚約者に自己破産の過去があることを発見し、問いただしたところ失踪。
足取りを追っていくとどうも戸籍上の本人ではなさそうだ。
2人の女性は今どこに!?という話。
このストーリーが、すっと馴染む文章で綴られる関係者の話や、エピソードで肉付け、深堀りされていき、次第に真相が見えてくる様に、とにかく没入させられる。
宮部みゆき氏はエピソードで人物造形するのが本当に、本当にうまいと思う。
直接的には登場しない、失踪女性の関根彰子に戸籍乗っ取りの嫌疑がかけられる中でどうにも付きまとう「しっくりこない感」。
それでも明らかになっていく事実がもたらす「そうなのかも感」。
最後、明文化されない事実を残しつつのエンディングはともすると肩透かしに感じられるところだが、それすらも良い余韻。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内ミステリ
- 感想投稿日 : 2022年8月13日
- 読了日 : 2022年8月5日
- 本棚登録日 : 2022年8月13日
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