ナイフをひねれば (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2023年9月11日発売)
4.06
  • (93)
  • (152)
  • (67)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 1493
感想 : 113
4

ホロヴィッツの念願叶い、自身が脚本を手掛けた「マインドゲーム」がロンドンのヴォードヴィル劇場で公演されることに。
ところが、初日の公演後程なくして絶大なる影響力を誇る劇評家ハリエットの酷評記事を目にすることになる。
関係者達は初公演後の気の高ぶりにより劇場の休憩室で内輪パーティを催していたところだったが、冷水を浴びせられた形になり散会。
そしてお決まりごとかの如く翌日発見されるハリエットの遺体。

第一容疑者は酷評を呼んだ張本人でもあり、記事の中で責任を負う者と名指しされたホロヴィッツ。
凶器はおろか動機、遺留品、監視カメラの映像までもの不利な証拠が揃っており、やや強引にではあるが留置所で一晩明かすはめに。
そこへ現れる救世主、物語冒頭で4作目以降の執筆契約を巡り仲違いしたはずのホーソーン。

相変わらず本心の見えない独特の間合いをもつホーソーンと、終始そわそわ落ち着きのないホロヴィッツのコンビ。
この2人の掛け合いが楽しくて、読み心地抜群。

関係者の一人一人を追っていく過程は意外と直線的ではあるが、明かされる断片的な情報だけでは、ぼんくらな自分では全くもって全貌を構成出来ない。
大団円にて明らかになった一連の「何事も見かけ通りではない」的複雑な結びつきに、なるほどー。
冷静に考えると、偶然に偶然が重なるくらいの結びつきのようにも思えるのだが、まぁいいんです。
そんな突っ込みを入れるのは野暮ってもので、ただただ受け身にその展開とツイストに流されていくのがこのシリーズの楽しみ方。

ちょっとずつ明らかになっていくホーソーンのいわくありげな過去と現在も、この先に向けての良い誘い水。
いゃあ、安定だわ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2024年2月24日
読了日 : 2024年2月22日
本棚登録日 : 2024年2月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする