アパルトヘイトの子どもたち―ぼくたちは怒っている (ポプラ社教養文庫 7)

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  • ポプラ社 (1990年4月1日発売)
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名誉白人といわれる日本人たちは、白人と同じように、プール、テニスコート、黒人メイドさん、庭師つきの大邸宅をあてがわれて住んでいます。そして、そのうえ、精神構造までが、すっかり白人。白人といっても、進歩的、あるいはアパルトヘイトに反対する言動や行動している白人たちではなく、黒人を劣等人種として軽蔑し、かつ使用人としての黒人にはたよりながら、友人としては絶対に黒人とつきあわない、もっとも保守的なアパルトヘイトをささえる白人たちと同じなのです。
 南アの黒人たちが、このような日本人たちを、なんとよんでいると思いますか。「バナナ」と呼んでいます。外側は黄色い(肌の色は黄色人種)けれど、中側は白いからだ、そうです。
 なんと悲しい、なさけないことでしょう。


172頁からの引用です。「引用」機能では文字数オーバーだったので、こちらに引用させていただきました。申し訳ありません。問題があればすぐに修正いたします。

私は現在中3ですが、この本を読んでいる最中に、大学生の姉に、中学生でそんなことに興味を持って読んでいる子を初めて見た、すばらしいことだと褒められました。ですが私の周りには、こういうことに興味を持ち、またこういう本を読んでいる友人らも数名おります。あまり何も考えていないようなクラスメートも、確かにいますが、英語の授業でこの問題が取り上げられた時、いつもは何も考えていないでくのぼうに見える男子が、やけに食いついて、一生懸命学ぼうとしていました。
同級生をつかまえて、私はどれほど偉い人間なのだというようなことを言いますが、つまり私はそういう同級生らをとても頼もしく思います。

自分自身のことなら、差別の問題、貧困の問題を常に知ろうとするのは私が自分に課した当然の責務です。

こういう中学生を、嘘っぽいとかいう風に評価する大人もいますが、私は真実の気持ちで書いています。私は嘗てひどいいじめを受けました。痛みを知ったからこそ、人の痛みに敏感になれると思います。もちろん私は平和な日本に生まれたわけで、彼らの本当の苦しみなどわかるはずもありませんが、せめて少しでも知ろうと努力することができます。

大勢の、同世代の人々が、このような意識を持ってくれることを願います。感受性の豊かな私たちには、素直に現実を見つめる力があるはずだと考えるからです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年2月12日
読了日 : 2011年2月12日
本棚登録日 : 2011年2月12日

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