乱読のセレンディピティ (扶桑社文庫)

著者 :
  • 扶桑社 (2016年9月29日発売)
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○乱読にも「意味」を持てば明るい知的ライフ!その意味を教えてくれる
セレンディピティとは、
思いがけないことを発見する能力。とくに科学分野で失敗が思わぬ大発見につながったときに使われる。(p92)とある。
タイトルにある「乱読のセレンディピティ」とは、乱読することによる思わぬ大発見があること、を指すのだろう。

・本は身銭を切って買うべし
・何回も読めばなんとなくその本のことが理解できる
・ただ本を追随するのではなく、生きる力に結びつくように読むべし
・・・などと、読書の仕方を懇切丁寧に、教えてくれている。

p82では、乱読の意義を語っている。
そもそも文章を読むうえで「アルファ読み」と「ベーター読み」という種類があり、「アルファ読み」は読む側がある程度知識を持って読んでいる状態。いたって基本的な読み方ではあるが、新たな知識を入れるとすると「ベーター読み」のように知らない言葉でも推測したり読み飛ばしたりする読み方をやらないといけない。
義務教育などの学校では「アルファ読み」しかやらない。「ベーター読み」をやればいろんな分野の本に好奇心を持って立ち向かうことができるはずだ。

また、乱読をするうえで最もうってつけなのは新聞だ、とも勇気づけてくれる。

自分の読書のはじまりは実は新聞だったし、進学校であった高校のときに「わからない単語は類推して読んでみよ」と現代文や古典の授業で言われていたことも、影響しているのかもしれない。
その点では、高校までに聞きかじりで得ていたことが著されているという点で心強い一冊。読書を人に薦めるときの理論的支柱にしたいと思う。

ちなみに、思考の整理学と表紙が似せてあるのも面白いポイントである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2016年12月31日
読了日 : 2016年10月9日
本棚登録日 : 2016年10月10日

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