小川さんはどうしてこう隙間にいる人々を見つけるのが上手いのか。
誘拐の記憶を持ち運ぶ女性、散歩同盟、空港の片隅でひっそりと行われるカタツムリ競争、手紙をさりげなく置き去る実験、葬儀のお見送り幼児…。
なかなか思いつかない仕事、思いつかない生活、思いつかないキャラクター。
密やかに慎ましく整然と、しかしそれが時に猥雑で残酷に変化し、でも美しく。
今回は実在の人物や実際に起きた出来事などをモチーフに作られた物語だが、この広い世界にはなんと小川さんにお誂えの人々がいることかとそのことに驚く。
そしてエリザベス・テーラーやパトリシア・ハイスミスなどの有名人たちの逸話すら小川さんの手に掛かれば、小川さんの物語の巧妙なスパイスになる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2017年4月21日
- 読了日 : 2017年4月21日
- 本棚登録日 : 2017年4月21日
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