戦国時代の屈原から、近代の魯迅までの詩人たちの簡単な評伝と、代表作を組み合わせた読み物。
幻想の詩人、李賀の、色彩感に満ちた詩。
中国の詩の歴史の中でも異色の存在を、この本を通して初めて知った。
名前くらいしか知らなかった杜牧が、放蕩の時代があったもののエリートコースにいた彼が、眼病を病む弟のために官途を擲ち、その死後は遺族の面倒を見続けたこと。
こんなことを知ると、「南朝四百八十寺 多少楼台煙雨中」という詩さえ、ちょっと見る目が変わってくる。
この間、欧陽脩の文章に、梅聖兪(尭臣)のことが書かれていた。
官職に恵まれず、なぜか日本ではほとんど知られることがなかったこの詩人が、新婚の妻のこと、飼い猫や鶏、蚊や蚯蚓まで、身近なものを平易に読む、北宋初期の詩壇では異色の詩人であったそうだ。
この人の詩も読んでみたい。
この間まで、お習字の稽古で王庭堅の尺牘を書いた。
蘇軾の門下に育った彼は、官僚としては不遇だったらしく、老荘に心を寄せていたとのこと。
そんなことも、知らなかったのだ。
触れる機会はあったというのに。
知ることで、少しずつ、世界がひらけていく。
そんな一冊だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2017年3月29日
- 読了日 : 2017年3月29日
- 本棚登録日 : 2017年3月29日
みんなの感想をみる