鮮烈な小説だった。
17歳の女子高生を主人公や語り手にした小説集。
彼女たちは大人と子どもの間にいる。
さらに語り手は、同調圧力が働くクラスの女子集団とその外部との境界に立って、大人の「女」、本物の恋に憧れる。
わずかな出来事を機に変わっていくこの年代の人。
その感性の鋭敏さにはっとする。
文体は今となっては随分クラシカルに映る。
でも、恋愛(性愛を含む)をロマンチックなものと捉える価値観は、むしろ古典的なスタイルがふさわしい。
この作品には、離婚した父と暮らす娘が三篇で出てくる。
Sweet BasiとKeynoteの語り手は同一人物。
あと一篇はどうかわからない。
二つの小説の父親は、本物の恋に憧れる娘に、「いつ恋に落ちても大丈夫っていう自信のない女は、むやみに人を好きになっちゃいけない」と教え、いま、すぐに「愛している男の前で服を脱ぐことができるか」と問いかける。
両親自身も「男であること」、「女であること」を、娘として早くに理解せざるを得なかった環境とある。
日本の家庭としては珍しく、脱性愛化していないのだが、母親が全く出てこないのが印象に残る。
母親との葛藤は回避されているのか?
母がこの作品の中に出てきたら、作品世界が崩壊するのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年10月11日
- 読了日 : 2020年10月10日
- 本棚登録日 : 2020年10月11日
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コメント 2件
workmaさんのコメント
2021/03/14
gaacoさんのコメント
2021/03/14