戦時中の大学病院外科が舞台で、人の生死が日常のすぐ近くにある物語の設定が読者に与えられる。
物語の進行は淡々としていて贅肉が少ない。性別も性格も違う複数のキャラクターの視点から事件が語られる。
こういう設定なので、ショッキングなはずの出来事を、まるで遠い国の戦争をテレビで見ているような気分で受けとめることができてしまい、読み進めるのが苦しいといったことがなかった。
ただ、これはあくまで傍観者的、第三者的に事件を見ているからなのではないか、いざ自分が当事者となったらどうなのかと思わせる。
もし自分が当事者だったらを考えるとき、後半の登場人物たちの異なる立場、性格、性別、国籍からの独白が手助けになる。
本当に舞台設定のよくできた話だと思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年4月28日
- 読了日 : 2022年4月29日
- 本棚登録日 : 2022年4月27日
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