よく考えずに手を出したらとんでないお話だった。
主人公はユダヤ人嫌いの祖父に育てられたシモニーニ。祖父の死後、公証人のもとで文書偽造に関わった彼はやがてその腕を買われ、各国の秘密情報部と接点を持つようになり、守備範囲を政治的な文書へと広げていく──というストーリー。主人公以外の人物はほぼ全員が実在。さまざまな人種、思想が入り乱れての陰謀、策略の上塗り大会。
構成も凝っており、主人公とある神父の書簡のやり取りから始まる。主人公はこの神父と自分が同一人物ではないかと疑っており、そんな主人公の曖昧な記憶を埋めるかのように「書き手」が物語を補足する。書簡の中には身に覚えのない死体が登場し、時系列もあやふや。この殺人を巡る展開はミステリでもあり、そう思うとストーリー全体がフーダニットにも思えなくはないのよね。
勉強不足に加えて、実在の人物・事件と身構えたので余計に難しく感じてしまった。逆にフィクションだと思い込む方が面白く読めるのかも。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2016年5月3日
- 読了日 : 2016年5月3日
- 本棚登録日 : 2016年5月3日
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