よくわかる、というよりは、古典に対する敷居の高さをぐっと低くするための好著。
古典のよみにくさのカギとなるのは、どう書かれていたかだと筆者は説く。漢文・ひらがなのみ・漢字×カタカナの書き下し文から、漢字×ひらがなの和漢混淆文へ至る文体の変遷を追うことで、上代から鎌倉後期までの文学史が辿れるというわけで。
著者の語り口が巧みだ…と思ったのは『徒然草』について語る第6章。有名だが訳しづらいフレーズ「おぼしき事言わぬは腹ふくるるわざなれば…」を「思っていることを言わないと腹がふくれる=欲求不満になる」と解きほぐす。で、その"思っていること"が何か、つまり引用箇所の直前に何が書かれているかは章の後半で紹介されるのだが、それにくすりとさせられ、兼好法師と私の距離感がぐぐっと縮まる。うわあ古典おもしろ! となるのはある程度もとからこういうのが好きだからかもしれないが、でも人に勧めたくなる本なのは確か。
読書状況:読み終わった
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910.23
- 感想投稿日 : 2023年12月11日
- 読了日 : 2023年12月11日
- 本棚登録日 : 2023年11月22日
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