「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は公開処刑の対象となってしまう。
「逃げたって無駄だよ、逃げれば逃げるほど近付く、地球は丸い」
「本気で逃げるなら火星にでも行くしかない」
不条理渦巻く政界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒づくめの「正義の味方」、ただ一人。伊坂ワールドの醍醐味が余すことなく詰め込まれた、ジャンルの枠を超越する傑作。
伊坂さんらしく、宇宙にでも行くファンタジー系の本。かと思いきや、まったくもって予想を裏切られる。あまりに理不尽な世の中。監視社会の成れの果て。「正義」とは何か。とても考えさせられる。
序盤からサディスティックな世界観。展開が読めない。この物語はどういった終わり方をするんだろうってソワソワしながら読み続けていましたが、終盤を迎えたあたりからの怒涛の伏線回収。
「人間は、安心できる情報よりも、危険を煽る情報に、より反応するんですよ。」
まさしくその通り。インターネットが普及し、ちょっとしたことですぐ炎上してしまう。どこで誰に見られているか分からない。監視社会。まったくもって生きづらい世の中になったものです。いっそのこと、火星にでも住もうかしら。
総評として、伊坂さん初心者の方には入門編としては、おすすめしづらいかなあっていうのが正直な感想です。ただ、ディストピア系の小説としてみたら入門編に適していると思います。興味がある方は、ぜひ、手に取ってみてくださいね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月22日
- 読了日 : 2022年9月22日
- 本棚登録日 : 2022年9月22日
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