言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)

著者 :
  • 祥伝社 (2010年10月1日発売)
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本棚登録 : 350
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以前、ワインの味見をした人が「馬小屋の藁」の「味」と言ったのか「香り」と言ったのかは忘れましたが、とにかく驚いたのが「馬小屋の藁」!これってあり?全然理解できないって思ったものです。一方でテレビのコメンテーターが「肉汁がしゅわっと」って言う味の表現もどうかと思っていたので、一体、美味しさをどう表現するのか少しでも知りたく読んでみました。
 
ソムリエじゃないから(みそソムリエだけど)この本によると「美味しい」でいいそうです(そう単純じゃないけど)
 
昔は賞味期限とかなくて、臭覚を敏感にして食べられるものを選ばないといけなかったです。「三丁目の夕日」って映画では、シュークリームを臭いで腐っていると判断した薬師丸ひろ子が捨てるように言ったのだけど、それでも食べたい堀北真希がそれを食べておなかを壊すシーンがありました。
でも、賞味期限に頼るようになって、自分で判断できなくなっていますね(ワープロで漢字が書けなくなったり、スマホで電話番号を覚えられなくなったりって言うのと似ているような)。
 
「思ったよりも癖がなくて食べやすいですね」「飲みやすい日本酒ですね」って言う言葉はよく聞きますが、じゃ、食べたり飲む前は「癖がある料理」「飲みにくいのが日本酒」って思っていたのか。そもそも、「飲みやすい」は誉め言葉なのか?個性があって、ある人には「飲みにくい」って感じることこそ日本酒の良さかもしれない。一方で、いろんなコンクールなどあるけど金賞とかもあるけど、そういう権威も大事だろうけど、「美味しい」って単純な言葉でいいから、喜んでもらえるファンを作ることは食にかかわるものとして大切かな。

田崎さんはその食品やワインが商品が本来持っている美味しさを言葉にして記憶する必要があるのでしょう。でも、一般人の私は、美味しさは、本来そのためのが持つおいしさの他に、「ギンギンに冷えている」ビールをめちゃくちゃ熱い日に飲むとか、すごく楽しい友達と飲むとか、いろいろ周りの影響を受けたりして「美味しさ」が生成されます。それも重要な要素になるような気もします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2022年5月28日
読了日 : 2022年5月28日
本棚登録日 : 2022年5月28日

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