神の裁きと訣別するため (河出文庫 ア 5-1)

  • 河出書房新社 (2006年7月5日発売)
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感想 : 15
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とにかくもがいている。まるで身体中を這いまわる蛆を無我夢中に払おうとするかのように。彼の表現しているのは、叫びそのものだ。その叫びに一生懸命に意味を加えようとしている。まるで、助けを求めるように、彼は叫び続ける。それは命そのものがそのトランスから、必死に逃げようとしている。いや、外界の絶え間ない何らかの刺激から、必死に耳をふさぎ、叫び声をあげている情景だ。それでも、彼が完全に狂気に陥らなかったのは、そういう感情を誰かに伝えようとする意志があったからだと思った。とにかく、強烈でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界文学
感想投稿日 : 2012年3月5日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年9月21日

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