広辞苑の神話 (文春文庫 た 38-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年5月9日発売)
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感想 : 6
5

漢字、和語など言葉についての蘊蓄満載のエッセイ集。一貫して、著者が主張しているのは、漢字とやまと言葉は別物で、漢字をそのまま当てはめて考えるのは違っているということ。漢字から考えていると、ことばの語源は分からないことが多い。1998年の著作なので、出てくる世間の話題は古いなあと思うこともあるが、書かれている内容は刺激的だ。広辞苑は、別に大した出来ではないようで、権威のように扱われるのは、岩波書店に対する信仰みたいなものが原因らしい。岩波文庫にも、薄田泣菫の随筆選集のように酷いのがあるとか。そうそう、新潮文庫の太宰治「津軽」の注も酷いようです。「しかしながら」はもともと「しか」と「しながら」に分けられて、「そのように全部取りまとめて」という意味だったが、それが逆説の「しかし」になってしまったとは!驚いた。これ以外にも驚くこと満載。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2021年6月22日
読了日 : 2021年6月21日
本棚登録日 : 2021年6月21日

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コメント 4件

Macomi55さんのコメント
2021/06/22

goya626さん
広辞苑は大した出来ではなかったんですか?私は信仰してました。
「しかしながら」の意味も変ってたんですね。でも言葉は環境によって変化していくものだから、変わってしまった意味も受け入れるべきだろうなと思ってます。たとえば「凄い」という言葉も元々は悪い意味だったと知っていますが、今は他に言い回しが見つからなくてついつい使ってます。

goya626さんのコメント
2021/06/22

Macomi55さん
広辞苑って、新し物好きなんですよね。その辺りも、何だかなあと思います。取り入れるのが速すぎます。私も「凄い」よく使います。まあ、怖いものでなくても使ってしまいます。

Macomi55さんのコメント
2021/06/22

新しい者好き。なるほど、広辞苑の新しい版が出たらすぐ話題になりますね。

goya626さんのコメント
2021/06/22

高島さんが言うには、話題づくりも岩波書店の手だそうです。

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