私にふさわしいホテル (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2015年11月28日発売)
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本棚登録 : 2328
感想 : 207
5

作家が作家と業界を描くとこうなるのか。。こわっ。
しかし、有森も東十条も遠藤もとても魅力的なのが。。すごっ。

有森はエピソードごとに作家として成長し
成長とともに人格も変わっていく。
エピソードとエピソードのすきまの年月に作者は一言も触れず
回り舞台のように さっと時間が進むのが小気味よくて効果的。

有森の姿はしかし 極端なだけで私たちと変わらない。
私たちと異なる決定的なところはイノセンス。
作家を作家として生きながらえさせるのは 
「書かずにはいられない」何か純粋な心の動きなのでしょう。

実生活がどろどろしていようが 怨念を内に秘めていようが
作品を書く そのこと自体が純粋なのでしょう。

だから私は 有森と東十条が嫌いになれなくて。
そうして作家ではない遠藤の存在だけが 
ストーリーの展開につれて薄れていくようで。

知らなかったものをたくさん見て 感じることの多い作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年12月2日
読了日 : 2015年12月2日
本棚登録日 : 2015年11月5日

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