赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1)) (創元推理文庫 116-1)

  • 東京創元社 (1959年5月2日発売)
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感想 : 48
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殺人事件に遭遇したボヘミアンな青年が、ノリで「そうだ、ぼく、探偵になろう!」と探偵役をコッソリ買って出たり、「君ちょっとワトソン役してくんない?」という軽いノリの提案に、「いーよ」とこれまた軽く友人が応じたり。
終始、このノリのいいホームズ&ワトソンが、あーでもないこーでもないと狭い敷地内を東奔西走するミステリでした( ^ω^ )

とりあえず思ったのは、なんかこのコンビ、ノリはいいけど捜査方法はなーんかこすっからいというか、みみっちいと言うか…いえ、そのギャップが可笑しくはあるのですが、少し探偵の捜査手法としては物足りないかなあ。
最初から犯人たりえる人物が極端に限定されていて、その人物の目をかいくぐりながら調べ物をしたり、尾行してみたり、に終始していたのがなあ…。
「銃声が鳴り響いた密室に残された死体と消えた容疑者、そして僅かなタイムラグで現場に乗り込んだ発見者達」という本格派な謎に対して、この展開はちょっと物足りない気がしたんですよね〜。作者の最初にして最後の長編推理小説だから、多くを求めるのは酷かなあと思いつつ、少しもったいなあと感じてしまいました。

あとはまあ、本作の警察さんがあまりにお粗末だったのもね…。普通、××は確認するでしょ…照合するでしょ…。
普段は「本格推理小説に警察の介入やら科学捜査なんて不要よ〜!スルーよ〜!←」と豪語して憚りませんが、この辺を濁さずに寧ろドヤ顔で探偵に語らせてしまったのが、何か逆に微笑ましかった(笑)。

全体的に、ファニーでコージーなライトミステリです。惜しむらくは、邦訳の言い回しの古さ、取っ付きにくさでしょうか。現代訳の方が受ける気がするし、このストーリーの雰囲気には合う気がするなあ。


十数年ぶりに赤い館に帰ってきた放蕩者の兄が殺害された。彼の弟であり、屋敷の主人でもある人物が直後に謎の失踪を遂げたことから、彼を最重要容疑者として警察は捜査を進めていた。ところが、死体発見現場に居合わせた素人探偵・ギリンガムは、些細な矛盾点に気付き、独自の調査を進めていく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ●推理小説(海外)
感想投稿日 : 2014年10月24日
読了日 : 2014年10月24日
本棚登録日 : 2014年10月24日

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