11人いる! (1) (小学館文庫 はA 1)

著者 :
  • 小学館 (1994年12月10日発売)
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『11人いる!』

著 : 萩尾望都



かねてより評判を聞いていた萩尾望都先生の
作品を初めて拝読しました。

これ迄に読んだ幾人もの漫画家さんが、
尊敬する漫画家として萩尾望都先生を
挙げており、前々から興味を持っておりました。

伝説の漫画家の一人として、
漫画のみならず方々に影響を与えており、
私自身、最近は祖となる作品を鑑賞する機会が
増えてきたこともあり、
特別な書店へ足を運んだ際に勇気を出して
この短篇を手に取りました。

『11人いる!』はSF作品で、
1チーム10人が外部と接触を断たれた宇宙船で
53日間生きのびる試験を受けるが、
宇宙船には11人いた!
果たして無事合格できるのか、、。
というお話です。

各々の年齢・国籍・人種・性別・主義・容姿・文化・身分の違いを、11人を深い造詣で描写することで表現しており、考え方の反発や対話を通して読者に対しても問いを投げかけているのが感じられました。

なんと現在より50年近く昔の
1975年の作品との事ですが、
鋭い洞察は現在に於いても普遍的で
読者に新鮮な学びと面白さを与えてくれます。

一つの面が悪い方向に働く時もあれば、
全く別のタイミングで良い方向に
活かされる時もあり、
それが一層、その人の信念や、
苦労に対しての人間としての
深みを感じさせられ、
そんな場面が沢山ありました。

好きな登場人物は”フロル”です。

『彼方のアストラ』が好きな方には、
特に間違いなくおすすめだと思います。

話題作・人気作ほどネタバレの多いこの現代に、
一周まわって名作過ぎてネタバレされずに
先の読めない展開を愉しめる作品は
案外、最適かもしれません。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 22.08
感想投稿日 : 2022年8月17日
読了日 : 2022年8月17日
本棚登録日 : 2022年8月17日

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