緩やかさ

  • 集英社 (1995年10月5日発売)
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感想 : 5
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私たちの時代は忘却の願望に取り憑かれて、その為に速さの魔力に身を委ねているっていう話。

文章が自分には合ってなかったのか、文字から情景を想像するのが難しかった。


『穏やかさと記憶、速さと忘却のあいだには、ひそかな関係がある。ある男が道を歩いているという、これ以上ないほど平凡な状況を想起してみよう。突然、彼は何かを思い出そうとするが、思い出せない。その時彼は機械的に足取りを緩める。
逆に経験したばかりの辛い事故忘れようとする者は、時間的にはまだあまりにも近すぎるものから急いで遠ざかりたいとでもいうように、知らぬ間に歩調を速める。』

『私たちの時代が足取りを速めるのは、もう自分のことを思い出してもらいたくないと、自分で自分にうんざりし、自分で自分に嫌悪を催しているのを感じ、ゆらめく記憶のちいさな炎をふっとかき消したいと私たちに理解させるためなのだ。』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月7日
読了日 : 2020年12月7日
本棚登録日 : 2020年11月28日

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