昭和天皇の戦争――「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと

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  • 岩波書店 (2017年1月28日発売)
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感想 : 7

考え何処らが無数にある本。宮内庁編纂の「昭和天皇実録」を基にここに書かれたこた、書かれなかったことを、宮内庁職員が当たった第一次資料と比較しながら論じている。に昭和天皇=平和主義とのイメージを、意図的に再生強化せんとする点は明らか。これが実録の問題点であり、実録を読む場合の注意点。次に実録と第一次資料から浮かび上がる、昭和天皇の戦争責任の考え方。これは非常に複雑。わずか40歳前後で世界を相手に戦争を行う、その統帥の役を担わなければならなかったその苦労と苦悩。天皇の命すら守らない前線(関東軍)に怒りを露わにしつつ、結果が出ると起きてしまったことは仕方ないと事後承認、かつ、よくやったと褒めてつかわす。国土拡張を一義と捉え、太平洋での海戦連敗に何処かで米軍をガンと叩けないのかと地団駄を踏む。前後の象徴の役割は肩荷が降りたど同時に物足りなくはなかったか。昭和天皇を考えるとき、物事を単純に考えることはできない。戦況その他を、軍部のそれとは別に、真に客観的に分析しありのままを天皇に奏上できる人、組織、システムがあれば、統帥のあり方や天皇の判断もまた違ったものになったかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年1月7日
読了日 : 2018年1月7日
本棚登録日 : 2018年1月7日

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