未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社 (2012年5月25日発売)
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感想 : 69
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玉砕する軍隊こそが、「持たざる国」の必勝兵器だったのです。

世界大戦時の歴史に無知すぎるので勉強。
第二次世界大戦の日本といえば、物資がない国なのに、長期戦争する、過剰な精神論、命と補給の軽視、アジアを広範囲に侵略、戦争のゴール設定がない、ファシズムといいつつ誰が束ねていたのかよく分からない…と、あとから見ると全く理論的に見えないのだが、この本によると、意外と当時の軍人は他国の戦争を視察したり、物資がないから物資「持てる」国との戦争は無理だね…等、その時その時で現実的な考察をしていたことに驚いた。そしてあまりにも「持たざる国」である点を見つめた結果、もう精神論しかないから玉砕で勝利するしかない、補給が必要なほど長期間戦争しないから大丈夫(でもゴール設定がないから長期間になって餓死)という恐ろしい方向性に次第に傾いていったと解説している。
現実を直視した結果、非現実的な精神論に至る…一見変なようにも見えるけれど、総理大臣が育休中も休みだからリスキリングできるよね?少子化対策は社会の”雰囲気”を変えることだよね、と発言する等、最近も起きてる気がするのがなお怖い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年3月12日
読了日 : 2023年3月12日
本棚登録日 : 2023年3月12日

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