うつくしく、えぐい。
「賀茂の家」から逃れられない姉妹の物語なんだけれど、
各々の抱えている歪みをあますことなく描きながらも
それが表からはとても美しく見えていることが、かえってなまなましい。
ラストシーンは桜の下で着飾った姉妹に、
父親が賀茂の家を売る宣言をしようと決めたところで終わる。このあとにおこる騒動は想像にかたくない。
ものごとの、もっとも停滞しきったところ、その希望に向かっていく予兆すらもみえないところで物語が終わるのは珍しい。
太宰『斜陽』もまた、閉じた世界で完結する物語だったけれど、その中で陶酔がないという意味では非常に現代的。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年7月9日
- 読了日 : 2015年7月9日
- 本棚登録日 : 2015年7月9日
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