探偵小説と恋愛小説を融合させ流麗な文章で書き上げた短編集。『戻り川心中』に通ずるものがありますが、あちらほどトリッキーさはない分、各々の女性の心理や情念に比重が置かれています。
【能師の妻】や【未完の盛装】は代表作に数えられてもおかしくないくらい秀逸な出来ですが、マイベストは【花虐の賦】です。自殺の真相を追うだけの作品ですが、真相の露見によって鮮やかにひっくり返る構図が素晴らしいです。
表題作は、ミステリーの仕掛けは控えめですが一人の青年の成長譚として読ませます。
全編様々な趣向を凝らしたハズレなしの一冊だと思います。
読書状況:読み終わった
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連城三紀彦
- 感想投稿日 : 2014年12月1日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年12月1日
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