共著。夢と無意識、エディプス・コンプレックス、自我・エス・超自我から成る第二極所論モデルなど耳馴染みのものを手堅く抑えた基礎部分と現象学の見地からアクロバティックな「本質観取」を試みたとされる応用部分に二分できる。一冊の中での調和が取れているとは言い難いが、異なる掛け合わせのマリアージュこそが現代的な狙いとしてあったのかもしれない。
自我心理学と対象関係論のようなポスト・フロイトの分派乱立の理由と意義を一つのテーマとして設定していたようなのだが、古典的精神分析の二者間による相互幻想共有を逸脱せぬよう釘を刺しながら且つ一般他者の視線を常に意識し一定の社会構造を保持せよというのは、本書で語られているよりずっと実践の難しいことである。承認欲求と絡めた妙なヘーゲル推しも気に掛かる。
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- 感想投稿日 : 2013年9月22日
- 読了日 : 2013年9月22日
- 本棚登録日 : 2013年9月22日
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