掴みどころのない感じの短編6篇。
・よかった編
「カイムルとラートリー」
純粋な少女と幼獣が全編通して絵になるなぁと。
ラートリーさま、鬼退治の後、あっさりダイジェストにしてしまわずもっと二人の交流を描いてくれてもよかったのですが。
「無貌の神」
表題作。食べてしまったら戻れないっての古事記みたい。閉塞感が強くて救いのないエンドっぽけど、それでも抗ったことに意味がないわけじゃないと思う。話の筋より描写の上手さ、気持ち悪さ愚かさ寂しさとか皮膚感覚が一番強くて夢に出そうだった。
・よくなかった編
「十二月の悪魔」
実際が妄想でも軟禁でも、どっちにしろ希望がなくて読んでて悲しくなった。怖い話なら突き詰めてドーンと落としてくれた方がすっきりするんだけど、薄い描き方してるのでモヤが晴れない感じ。
<総評>
詩情というか趣のある文章でやっぱ上手だなあと。ただ同じ短編の「竜が最後に帰る場所」と比べると、フワフワして細部エピが少ない?ので物足りなさはあるかも。
あと最初抽象画?と思った装丁は九尾の狐らしい。狐出た編なくないか?いや常識とか嘲笑う怪異の雰囲気はあってるけどそれなら真っ黒い無貌の神絵とかしてくれたらよかったかなあというのも残念ポイントひとつ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年2月3日
- 読了日 : 2022年1月10日
- 本棚登録日 : 2022年1月10日
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