チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

著者 :
  • 宝島社 (2007年11月10日発売)
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火喰い鳥、ロジカルモンスターの白鳥圭介の初登場!
厚生労働省大臣官房秘書課付技官 兼
医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長
この肩書きを聞くとワクワクする。こんなに画数の多い肩書き、白鳥以外に存在するのだろうか。

上巻では田口の聞き取り、パッシヴ・フェーズに徹していた調査だったが、下巻では白鳥の登場によりアクティヴ・フェーズへと変わっていく。

白鳥の言動はかなり荒く、忌み嫌われるようなものばかり。どこにいても嫌われ者、例えるならばゴキブリ。同席させられる田口が気の毒である。
仕方がない。白鳥の行うアクティヴ・フェーズは相手を怒らせてなんぼの調査。怒りによって、見えていなかった顔が見えてくる。
ドラマでの仲村トオルさんのようなダンディさは1ミリも感じ取れないが、白鳥の本質はそこではない。
高階病院長や桐生、田口と望む未来は同じなのだ。今目の前にある消えそうな命を救いたい。ただそれだけ。
変人役人の白鳥。悲しいかな、あなたのような真っ直ぐで正直な役人は多くない。

上巻にあったある文を思い出す。
"手術の場は、掛け算に似ている。他の人たちがどれほど大きい数字でも、ゼロが一人いれば、全部ゼロだ。マイナスが一人いれば、数値が大きいほど悪い。かと思うと、マイナスが二人いると、今度は大きなプラスに変わる、こともある"

栄光のチームバチスタは綱渡りのような奇跡を続けていた。皆が必死に守ろうとしていたチームはあるマイナス因子によって崩れていく。

解決後はまたゆっくりと時間が流れていく。
高階病院長が田口をお気に召しているのは、自分と似ているからだろう。全てを受け入れられる"お偉いさん"も多くない。

田口と高階、田口と白鳥、田口と藤原、田口と桐生。やられっぱなしの田口ばかり、ではないのが面白い。ちゃんと反撃しちゃう。
Bravo!


ドラッグラグや小児心臓移植など、日本の医療は最先端な部分と承認されていない部分の差が激しいように感じる。
リスクの高さが壁となって世界との差があるのだろうけれど、当事者からすると世界では認められてるのになぜ日本にいるだけで…となるのは当然だろう。

私がバチスタシリーズに出会ったのはドラマなので、15年ほど前。そして初読は中学生頃だったはずなので10年ほど前かな。
医療知識0だった私がハマったのは海堂先生の文章があまりに丁寧で易しく読みやすかったからだと、3年間基礎医療を勉強して再読した今よく分かる。卒業して医療の道には進まなかったので、懐かしい〜!と思い出しながら読むのが楽しかった。
目指せシリーズ全制覇!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月11日
読了日 : 2023年2月11日
本棚登録日 : 2023年2月5日

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