リソースがコモンズであれば、誰もがそれを使って創造的な活動を行うことが出来るので、イノベーションを促進する。
それに対して、著作権やテクノロジーを用いて、リソースの所有権を強化するとイノベーションの方向が既存の利害に沿うようにしか進まない。
本書では、コモンズとコントロールのバランスの重要性を説いている。
”たまたま”採用したend to end のネットワ―クアーキテクチュアーがまさにネットワークをコモンズにして、イノベーションを開花させたという話は面白かった。
イノベーターの発明インセンティブを保つために、一定の法的著作権を認めることは当然のこと。問題は、コントロールすることへは広く理解されているが、コモンズであることの有用性はあまり理解されていないこと。そのことが既得権連中にコントロールを推し進めさせ、バランスの欠いたシステムが作られようとしている。
コモンズと聞くと、経済学における”共有地の悲劇”が想起される。そこでは私有財産化することで悲劇を回避するが、そもそも、そこで問題になる過剰消費は公共財の競合性から発生するものである。知識は非競合財なのでむしろ、コントロールによる、過少消費を懸念する必要がある。そして、インターネットはそんな知識という財を流通させているのである。
読書状況:読み終わった
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教養
- 感想投稿日 : 2015年1月19日
- 読了日 : 2015年1月19日
- 本棚登録日 : 2015年1月10日
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