若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2006年9月15日発売)
3.45
  • (199)
  • (452)
  • (878)
  • (72)
  • (21)
本棚登録 : 3558
感想 : 557

”BOSSからお借り。「現代若者気質論」を期待して読んだが、本書は「年功序列崩壊論」がメイン。

そんな中でも「なるほど!」と思えたのが以下の記述。

・優秀なグループには同時に欠点もある。彼らは就職までのプロセスにおいて、あまりにも「仕事に対する意識」が高くなりすぎているのだ。(p.37)
 →だから入社後に、アサインされた業務にギャップを感じて、フラストレーションを抱える。納得!

・実際のところ、自分たち(引用注:人事部)が入り口で厳しく要求する能力など、半分くらいの若者、いや、ひょっとすると大半の若者には、生涯発揮する機会すらないのではないか。

・年功序列制度の本質は“ねずみ講”
 80年代いっぱいは、経済全体が成長を続けていたからパイの取り分でもめなかっただけの話で、いったん成長が陰ると、一気に矛盾が噴き出してきたのだ。(中略)
 「若いうちは我慢して働け」と言う上司は、いわば若者をそそのかして人生を出資させているようなものだ。(p.156)

・もし、いまの若者がこのまま年功序列組織のレールに乗ったまま先に進めば、将来彼を待つものとはなんだろう。(中略)
 残念ながら、そこまでたどり着けるのはごく一部の人間だけだろう。むしろ、多くの若者は、そのはるか手前で人生を終えることになる。(中略)
 ここで重要なのは、技術系にせよその他事務系にせよ、こういった現実に直面するのが(20代であれば)おそらくいまから15年以上先、40代になったあたりだということだ。「あれ、自分はひょっとして一生平社員で終わるのか?これ以上、給料はあがらないのか?」と気づいた頃には、もう遅い可能性が高い。(p.215-217)

★それ(引用注:昭和的価値観)さえ捨てることができれば、実はわれわれには、先人たちにはない、ある貴重な宝物があることに気づく。
 それはひと言でいえば、「自分で道を決める自由」である。レールの先にはどうやら明るい未来は少なそうだが、代わりにどこでも好きな方向に歩いていけばいいのだ。(p.221)


※著者 城 繁幸氏は1973年生まれ。『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』の著者でもある。「Joe's Labo」代表”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: -
感想投稿日 : 2019年8月15日
読了日 : 2008年11月
本棚登録日 : 2019年8月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする