図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年7月8日発売)
3.64
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本棚登録 : 6714
感想 : 692
5

瀬尾まいこ 著

いや〜参りました。とんでもなく良かったですよ!この本(о´∀`о)
激動の人生を送り、深く人生を掘り起こし、心揺さぶるような感動巨編というわけでは決してない!
でも、純粋に好きだって思う。
ミステリーでもないのに、読む手を止められず、どんどん読み進めてしまう。

呆れるわ、と笑いつつも自然に主人公に寄り添って感心したり戸惑ったりしてしまう。
作者、瀬尾まいこさんの作品のイメージは、
まず、清く正しく嫌な事があっても、爽やかでいて悪い人は登場しないというセオリーをやっぱり崩さない作家さんだなぁって思う。

私も自分のセオリーどおり読後に山本幸久さんの解説を読んだ。
開口一番「ぼくは垣内君の意見に賛同する」という文が飛び込んでくる!
本に向かって「そう!私も絶対、賛同する」って晴れやかに心の中で声をあげた(^。^)

『図書館の神様』と題する本作、厄介な体調不良を抱えながら”健全な魂は不健康な身体にこそ宿るのだ”と言わしめる(゚o゚;;
まずその言葉に面食らった‼︎( ・∇・)
そんな言葉聞いたことない、健康な身体に健康な精神は宿る…じゃなかったっけ~(・・?
でも、その聞いたことのないような言葉に病気持ちの私は少し救われた気分になった^^;

しかもバレボールに打ち込むことで、より元気チャージされて不健康とは程遠い体育会系ではないか⁉︎この話の展開から図書館の神様とはどういう事なのか…興味をそそられない訳がない。一体いつどこに図書館の神様は現れるのだ⁉︎

「黙るべき時を知る人は言うべき時を知る」文中に垣内君の会話の中で出てくるんだけど…『言うべきときを知る者は、黙すべきときを知る』ってアルキメデスの言葉じゃなかったっけ?なんて思いつつも、要はそんなことはどうでもいいのだ、
その意味合いを自分の中で知っていて、いざその時を自分で成せることが大切なんだって、そんなことまで気づかせてくれる。

愛人の浅見や弟の拓実の登場人物はさほど関係ないかのように見えて、実は重要な存在として物語に上手くかかわってくる。その溶け込みかたや瀬尾まいこさんの描き方ってホントいいよなぁ、好きだなぁって思う。
(弟の拓実のキャラがまたいいのよ(^^)

ところで、ブクログの方の本棚でも見つけてレビューを読んで、とても読みたくなり、自分の本棚にも登録している山本周五郎さんの『さぶ』という小説の話しが本作にも登場して、本文の内容が少し引用されている。
ますます、読みたくなった‼︎
絶対私の好きな作品だ!直感で分かる(°▽°)
私は山本周五郎賞を受賞している作家さんの作品は何冊か読んだ事があって、山本周五郎賞をとっている作品はいつも素晴らしくて好きな作風で、
「流石、山本周五郎賞とるだけのことあるわ!」とほくそ笑んでる割に、肝心の山本周五郎本人の作品をあまり読んでないことに今更のように気付く(・・;)いやはや、是非にでもはやく手に取って読まねば、読みたいです。

文中に出てくる川端康成や夏目漱石然り…
中学や高校時代に偉大な文人の小説を読めば文学に携わってるような気がして、学校帰りのバスの中で、結構読んでいたけれど、その頃は、解説の中でも紹介されてた川端康成の小説に「あ〜こんなこと書いてた場面あったなぁ」と思いつつも、あの頃の自分はちょっと気味悪い、この文章何だか引くわ〜とも感じたこともあったから、読む年代や精神的な年齢やら時代にも感じ方や受け取り方は随分違うんだろうなぁって思う。
垣内君曰く「文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ…、、」
確かにねぇ、のび太のようにタイムマシーンに乗って、その時代に今ならタイムトラベルしてみたい気もする(^-^)笑

“文学なんてみんなが好き勝手にやればいい。
だけど、すごい面白いんだ。”クールな図書委員の垣内君の熱を帯びた言葉に頷いた
 図書館の神様、ここに現るか…。

過去の思い出に引きずられながら…あんまり乗り気でないことも、茶化したりふざけたり、結局真面目に考え真剣になることもあるけど、ふんわりしたような人生が心地よい気分にさせてくれる本作。
だけど、ラストに送られてきた三通の手紙
三通の手紙の中の最後の一通の手紙に
元々、涙脆い自分だからか…?
泣きたくもないのに、鼻の奥がつーんとしてきて…またしても、きっちり、涙が溢れてしまいましたよ(´;ω;`)
瀬尾まいこさん、やっぱり、ずるいよね…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月31日
読了日 : 2022年3月31日
本棚登録日 : 2022年3月31日

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