偽書の精神史 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社 (2002年6月10日発売)
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偽書の成立、受容を通して、中世という「信仰の時代」を切り取る。

あれも偽書、これも偽書と明かされると、合理的な現代人は、信仰を軽蔑する。しかし、偽書の成立には、本源的な存在への信仰と一体感があったことを見失ってはなるまい。また、偽書成立と鎌倉新仏教、本覚思想、中世神話創造とは共通の精神的な基盤があったことも指摘している。

世俗化が始まった近世から、浄化されきった現代がいかに「信仰の時代」「実感の時代」から隔たっているかも最後に触れている。

・女性は地獄の使い論は平安時代に偽作された
・織田信長は第六天の魔王を自称した
・無作三身は本覚思想の真髄
・法然・日蓮と伝統仏教の相承観の根本的相違

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本<宗教>
感想投稿日 : 2018年6月5日
読了日 : 2018年6月6日
本棚登録日 : 2018年6月5日

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