貧乏な人はどうしてみんなタバコを吸うのか?
自分自身の、無知、偏見そして自信過剰を思い知らされた。
汚職と賄賂にまみれた役人たち、べらぼうな金利の金貸し、酒、タバコ、SEXに溺れるだらしない人々。。。
テレビなどからの断片的な情報だけで、貧乏な国の人たちを無意識のうちに見下していたのかもしれない。
でも、貧乏な人たちも僕らと同じように分別も理性も愛情もあるし、僕らと同じように短絡的で目先の利益にとらわれやすい。
僕らと何も変わることのない同じ人間だということだ。
では、なんでこんなにも境遇が違うのか?
あたりまえだけど、そんなことを1つの理論で説明し、一発で解決する方法論なんてない。
経済学というと、どこか紋切型で机上の空論、リーマンショックを引き起こすような邪悪な学問というイメージだけど、この本で出てくる経済学は、個々の問題に対して貧乏な人達がなぜそんな選択をするのかを徹底的に解き明かし、どのように介入すれば効果が得られるのかということを考えて、ひとつひとつ実践していくことだった。
この本を読んで、あらためて経済学というものへの憧れを感じた。
NHKスペジャル「human」でも言っていたように、我々は信頼する力を持つことで人間となり、高度に分業化を進めていくことで今の繁栄を築くことができたそうだ。
貧困から脱出するカギは、どれだけ周りを信用できるようになるか、それによって余計な心配ごとをなくして自分の得意なことに専念できるか、ということなんじゃないだろうか。
それと、少し飛躍しすぎかもしれないけど、会社がどうしてもっと効率的に仕事ができないのか、ということも本質的には同じことなのかもしれない。もっと周りの部門や人達を信用することができたら、もっと効率的に仕事ができるだろうに。
そのときには、相手の悪意や狭量さを責めるのではなく、なぜそんな仕事のやり方をするのか、その意思決定の背景をよく考える必要がありそうだ。
- 感想投稿日 : 2012年6月30日
- 読了日 : 2012年6月30日
- 本棚登録日 : 2012年5月19日
みんなの感想をみる