怒りの葡萄に続いて、青春時代に読破を挫折した大長編にリトライシリーズである。今回は岩波文庫版で全4冊、1、2巻は、割とたやすく読みすすめられたのだが、3巻目以降は、テーマがなんだがかったるい男女関係だったりしてややうんざりしてしまった。
百姓から大地主になる「王龍」、軍閥の首領となる「王虎」、アメリカ帰りのナショナリスト「王元」の直系3代記。いずれも身勝手な男の論理だけのわがままな奴としか、いまにしてみれば思えないけれど、これが時代の限界性というものなのだろう。
やはり感動的なのは、1巻目の王龍と阿藍の二人の物語なのだが、阿藍の姿には、涙である。これを是として描いているわけではないのだろうが、うーむ、言葉にならない。蝗のシーンは昔もっと感動的に読んでいたように思うのだが、あっさりと行ってしまった。読む年齢によって視点が変わったり価値観が変わっているのだろうな。
Pearl S.Buck 1931 THE GOOD EARTH
・この世ではあまり幸運だとろくなことはない。天に地にもかよわい人間が、それもとくに貧しいものが幸福なのはがまんできない悪霊がみちみちているのだ
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年3月4日
- 読了日 : 2022年8月25日
- 本棚登録日 : 2022年3月4日
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