私も著者同様、東京に生まれ育ち今に至っている。(この著書にも書かれている町だ)。ここ以外の場所に、思いを馳せ帰るべき故郷などない。再開発という名の町殺しに唯一の地元が失われつつある。この嘆きを分からぬ者には、著者の憤りは素通りし滑稽にすら思われるだろう。刻々と醜悪で血の通わぬ表情に変貌し衰退していく東京。この流れはこれからも加速していくだろう。それでも東京を諦めきれない著者の執着がノスタルジーを排除した怒りとなって貫く。言わずもがなレトロな東京なんて嘘くさくていらね。人間が根付き息づく町でいてほしいだけ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
東京論
- 感想投稿日 : 2014年1月13日
- 読了日 : 2013年12月10日
- 本棚登録日 : 2014年1月13日
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