人生における3つの課題として、人間関係と仕事、そして愛・結婚を挙げる。
そしてそのどれもに共通する大切な要素が共同体感覚だとアドラーは述べる。
共同体感覚とは、人との関わり合い、助け合いの中で生きているという感覚である。
人は、生まれた時から人生が決まっているのではなく、環境が生き方を決める。貧しい家に育ったとしても、愛情を受け、正しい形で教育されれば、素晴らしい人間になる。
一方で、裕福な家に育っても、甘やかされて自分にしか興味がなく、共同体感覚を持たない人は、犯罪者や他人に害のある人間へとなってしまうのだ。
アドラーの本の中では、障害者と甘やかされた人、そして無視され続けた人は、犯罪者や偏った性格になりやすいと説き、共同体感覚を持ってもらうための教育が必要だとしている。
人、いや生物にとって、共同体感覚は欠かせないものなのだと思う。人間においては、なにをするにも人の手を借りている。
たとえ引きこもりをしていても、誰かが建ててくれた部屋に暮らしているし、誰かが育ててくれた食物を食べている。
僕はあまり群れるのが好きでは無いけれど、それでも限られた人たちと仲間でいられているという共同体感覚が、自分の正常な状態にしてくれている。
その人たちが居なくなったら… きっと自分は孤独感に苛まれる事になるだろう。
下巻の第11章の最後に、こんな文章がある。
『自分の課題に直面するとは、人生の3つの課題を協力的な仕方で解決するという責任を持つことを意味する。われわれが人間に要求するすべてのこと、われわれが人間に与えることができる最高の賞賛は、人間が優れた仕事仲間、優れた仲間、愛と結婚における真のパートナーであるべきであるということである。要するに、人は自分が仲間であることを証明すべきである、といえる。』
仲間と思ってもらうには、努力が必要だ。『自分を仲間と思ってくれて無い!』『自分は無視をされている!』『自分は愛されていない!』と思うのは、自分を中心に捉えている考え方であり、先述の3つの人に多い特徴だ。
そういう人たちには適切な形での治療が大事な訳だが、もし自分で気づき、改善できると思うならば、まずは全力で相手に関心を持ち、愛してみるのが良いのだろう。きっと、感謝の気持ちも忘れてはいけない。
これまで、自分だけ成功すれば良い、とか。どうすればもっとお金が手に入るのか、とかの考えが先行していた。しかし、ふと亡くなった祖父から言われた言葉を思い出す。
『お金は後から付いてくるから、まずは全力で頑張れ』
これってそういう事なのかもな。お金は大事なんだけど、それよりともっと大切にしなきゃいけないものがある。
それが仲間という感覚である。社会をより良くしているという感覚、それに対する喜び。結果としての儲け。
そういう事なんだろなと。
難しいと言われているアドラーだけど、面白すぎてすぐに読めた。もっとアドラーの本を読んでみたいと感じた。
- 感想投稿日 : 2019年2月28日
- 読了日 : 2019年2月28日
- 本棚登録日 : 2019年2月28日
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