スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年1月15日発売)
4.33
  • (2712)
  • (1765)
  • (683)
  • (103)
  • (24)
本棚登録 : 18001
感想 : 1594
4

私は本を読むのが好き。映画を観るのも好き。絵画や音楽も好き。大切にしている作品もいっぱいある。
だけど、ある作品(本であったり、映画だったり、絵だったり、歌だったり)によって、自分の人生を左右された憶えはほとんどない。もちろん、『あの年齢』のときに『あの作品』に触れていなければ今の自分は存在していないという、そんな思い出がある筈もない。
作品に触れて感じるのは「好きか嫌いか」「面白いか(印象的だとか、魅力的だとか、興味深いとか、感動したとか、そんなものみんな含めて)否か」それだけ。
理由を考えてみる。私の感性が鈍いのだろうか。冷めているのかもしれない。そしてもうひとつ。それは、私が何かに救いや心の拠り所を求めなければならないほどの辛い思いをしてこなかった。家族やまわりの環境に恵まれ、平凡ながらも幸せな日々を送ってきた証なのかもしれない。この本を読んで、ふとそんなことを思った。

構成・展開もうまく、良い作品だ。
丁寧に綴られ、そしてクライマックスに近づく第12章~最終章では、コウちゃんと環の互いをそっと思いやる深い想いに、心が震え、胸が熱くなった。
いつか再び、今度はもっとゆっくり読みなおしてみよう。
この本を読むきっかけをくれたのはブクログのお陰。感謝!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 辻村深月
感想投稿日 : 2012年6月9日
読了日 : 2012年6月9日
本棚登録日 : 2012年6月30日

みんなの感想をみる

コメント 3件

koshoujiさんのコメント
2012/06/09

なかなか意味深いレビューだなあと思いながら拝見いたしました。
『スロウハイツの神様』、作品世界に入りにくかったとは思いますが、最後までお読みになられ、なんとかご満足いただけたようで、とてもうれしいです。(^_^)
(追記)
初めての有村浩作品、「三匹のおっさん ふたたび」を読んで、久々に嵌りそうな作家に出会いました。。

koshoujiさんのコメント
2012/06/10

コメントありがとうございました。
辻村深月さんの最新刊がおそらく来週か再来週には図書館から連絡が来ると思うので、楽しみに待っているところです。
お薦めいただいた「永遠の0」ですが、実はあの本、半年ほど前、チャレンジしたことがあるのです。
ただ、冒頭部分で物語に入りきれず、途中で挫折し、図書館に返却しました。
でも、みなさんの評価は高いですよね。
私は、子供の頃(小学校高学年時代)実話の戦記物(『実録太平洋戦争全八巻』とか『山本五十六その生涯』とか)が大好きで、相当数読んだ過去があり、太平洋戦争の話に関しては、おそらく他の人に比べるとかなりの知識があると思うのです。
ガダルカナルの悲惨さとか、シンガポール死の行進とか、アッツ島・キスカ島玉砕とかの実話を読んで、あまりの悲惨さに、子供ながらに涙が止まりませんでした。
それらに比べると、体験者の語りの導入部分が淡々としすぎて、少しばかり物足りなかったのかもしれません。
でも、そこを堪えて「スロウハイツ」のように、挫けずに最後まで読み切れればよいのかなあ、と思っているところです。
今はとにかく、発売前や直後に予約した本が、雪崩を起こしたように図書館に到着している状態で、それを読みきるのにヒーヒー言っています。
こういうのを“うれしい悲鳴”と言うのでしょうね。
新刊の予約本は後ろがつかえており、延長できないので、落ち着いたら再チャレンジしてみます。

sorairokujiraさんのコメント
2012/06/18

私も、こちらにお返事させていただきますね。メッセージボックスとかがあればいいのにですね。
『夏天の虹』楽しみですね。次が出るまでが長いのでとても待ち遠しいですよね。

私が本を選ぶ方法は色々あるのですが、ひとつはこのブクログ。
honaoさんも含めて、お気に入りの人は、読む本が似ているので、レビューを見て参考にさせてもらってます。ブクログさまさまです。
図書館や本屋で表紙や帯を見て、選ぶのも普通ですが、ネットで「泣ける本」とか検索をかけて読んでみたりもしています。
笑いのツボはそれぞれに違うので、笑える本は、当たり外れがありますが、泣ける本はあまりハズレはないので、参考になりました。
こんな感じです。

honaoさんとは好きな本が結構似ているので、嬉しいです。
これからも、よろしくお願いします。

ツイートする