幻夏 (単行本)

著者 :
  • 角川書店 (2013年10月29日発売)
4.23
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本棚登録 : 721
感想 : 141

序章と終章が、まさに幻のように美しい作品。

少し前に『犯罪者』を読んだばかり。
記憶に新しい人物たち、相馬、修司、鑓水。
この三人が今回もタッグを組みます。

通り魔事件でただ一人助かった修司は
助けてくれた鑓水が経営する興信所でバイト中。
「23年前に失踪した息子を探してください」
母親はそう言って 前金を渡し、姿を消してしまいます。
そして、この失踪した息子は
相馬と深いかかわりを持っていたのです。

この作品には冤罪が産む悲劇が凝縮されています。
外部から遮断された「密室」。
この中で行われる違法・不当な取り調べ。
こういう環境が冤罪の原因になるとして
取り調べの録画が義務付けられたのは
2019年6月。(調べました!)
ただ、録画義務は対象事件に限られ
全事件の3%未満だと書いてありました。
対象事件って、誰が決めるの?

この作品は小説ですが、
実際に何が起こるか分からない怖さを感じます。
そして、間違いの元凶となった権力者たち。
彼らは、多少の不都合を課せられながらも
何事もなかったように普通の暮らしを続けます。
これって、今起こっている政治資金の話と同じ。
なんか、やるせない感じ。

太田愛さんの司法に対する思いの詰まった作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 太田 愛
感想投稿日 : 2024年1月26日
読了日 : 2024年1月26日
本棚登録日 : 2024年1月26日

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コメント 2件

bmakiさんのコメント
2024/01/28

この作品、とってもいいですよね。。。
二回も読んでしまいました。
なのに詳細は思い出せず(-。-;

お次は天上の葦でしょうか。。。

あー、私もまたあの3人に会いたくなってきました!!

yyさんのコメント
2024/01/29

bmakiさん

遅い時間になっちゃいましたが
コメント、嬉しいです。
ありがとうございます。

天上の葦、上巻がまだ貸し出し中なんです。
そして、その前に予約していた本の順番が回ってきたので
しばらく後になりそう。
ホントはこの勢いで、太田ワールドに浸りたいのだけど。

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