序章と終章が、まさに幻のように美しい作品。
少し前に『犯罪者』を読んだばかり。
記憶に新しい人物たち、相馬、修司、鑓水。
この三人が今回もタッグを組みます。
通り魔事件でただ一人助かった修司は
助けてくれた鑓水が経営する興信所でバイト中。
「23年前に失踪した息子を探してください」
母親はそう言って 前金を渡し、姿を消してしまいます。
そして、この失踪した息子は
相馬と深いかかわりを持っていたのです。
この作品には冤罪が産む悲劇が凝縮されています。
外部から遮断された「密室」。
この中で行われる違法・不当な取り調べ。
こういう環境が冤罪の原因になるとして
取り調べの録画が義務付けられたのは
2019年6月。(調べました!)
ただ、録画義務は対象事件に限られ
全事件の3%未満だと書いてありました。
対象事件って、誰が決めるの?
この作品は小説ですが、
実際に何が起こるか分からない怖さを感じます。
そして、間違いの元凶となった権力者たち。
彼らは、多少の不都合を課せられながらも
何事もなかったように普通の暮らしを続けます。
これって、今起こっている政治資金の話と同じ。
なんか、やるせない感じ。
太田愛さんの司法に対する思いの詰まった作品でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
太田 愛
- 感想投稿日 : 2024年1月26日
- 読了日 : 2024年1月26日
- 本棚登録日 : 2024年1月26日
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コメント 2件
bmakiさんのコメント
2024/01/28
yyさんのコメント
2024/01/29