じんわり心にしみる物語。
慈しみの雨 というタイトルどおり。
60歳で警察を定年退職した神馬(じんば)。
妻と二人、四国八十八か所お遍路の旅に出る。
歩いて、およそ二か月。
妻は知らないが、神馬には明確な目的があった。
自分が関わった事件の被害者供養のため。
とりわけ、16年前に起こった少女殺害事件。
逮捕された犯人は服役しているが、神馬は納得していない。
そんな中、その事件に類似する少女殺害事件が起こり
神馬は旅先から、この事件に深くかかわることになる。
話の中心は事件の解決ではなく、ほかのところ。
(ある意味、事件は未解決のまま終わる)
神馬と家族、元同僚など。
お互いに通わせる心の繋がりが、深く温かい。
何より “人として一番大切なことは何か” が常に問われる。
久しぶりに読む柚月さんの小説。
期待しながら読み始めたけれど、最初は「あれ?」という感じ。
「なんか、退屈?」
ところが、三分の二を過ぎたあたりから、一気に前のめりに。
逆回りをしている巡礼者から、神馬がヒントを得ると
もう、ドキドキ が止まらなくなる。
そして最後は心の中に、タイトルどおりの雨を感じ…。
さすがです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
柚月裕子
- 感想投稿日 : 2022年10月1日
- 読了日 : 2022年10月1日
- 本棚登録日 : 2022年10月1日
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