重力ピエロ

著者 :
  • 新潮社 (2003年4月20日発売)
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感想 : 1642
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「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだ。」
これは、この物語の語り手の弟、春が口にした言葉。
作品の内容とタイトルをそのまま言い表しているよう。
                                                         
癌を患って病床についている父と、二人の息子の物語。
長男の泉水は遺伝子を取り扱う会社に勤めている。
次男の春は、父と血がつながっていない。
しかし、父親が投げかける言葉はいつも素敵だ。
「春は俺の子だよ。俺たちは最強の家族だ」 
                                                                                                                                             
彼らの暮らす仙台の町で、謎の放火事件が相次ぎ、
泉水と春は犯人を追うことで、自分たちの過去と対峙することになる。
誰が何の目的で火をつけ続けるのか…。
そして、事件はどのような形で終焉を迎えるのか。
                                                                             
登場人物のキャラクター、とりわけ春が魅力的。
脇役である探偵の黒澤も、いい具合に力が抜けていて 最高。
彼等の間で交わされる会話は、どれも軽妙で愉快。
罪と罰、そして贖罪。
重い内容を扱っていながら、文面は一貫して明るく前向きだ。
                                                                                                                                                 
そして、泉水の夢の中に未来を予言するカカシの話が!
「オーデュボンの祈り」がお邪魔しに?
伊坂さんの作品って、お洒落です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伊坂幸太郎
感想投稿日 : 2021年11月13日
読了日 : 2021年11月13日
本棚登録日 : 2021年11月13日

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