スイート・ホーム

著者 :
  • ポプラ社 (2018年3月9日発売)
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みかん色の花と共に香るキンモクセイ。
丘の中腹に建つ 赤い屋根にクリーム色の壁の家。
その家には二つ入り口があって、ひとつは家族用の玄関。
もう一つは洋菓子店「スイート・ホーム」のエントランス。

街で暮らす人々の温かい交流が、この洋菓子店を中心に描かれます。
善意の人だけでできている街の様子は、洋菓子そのもの。
内気な性格のこの家の長女・陽皆(ひな)と、活発な次女・晴日(はるひ)。
北海道から移住してくる母親の妹・郁子や、店のお得意さんたち。
街の料理教室で講師を務める未来(みく)さん。
浪人して受験勉強中の由芽ちゃんや、アメリカ人のエマさん。
グラフィックデザイナーの明日香さん。
そして、ひとり娘の家族をこの街に呼んで、同居したい祐子さん夫婦。

途中、こんな記述がありました。
『家は、人が住むことでハウスからホームになる』
それぞれが理想の家族を追い求めます。
そして、その中心にあるのが、美味しいものたち。
お店の洋菓子と、未来さんのお料理。
ページの間から良い香りが匂いたちます。
未来さんのレシピ、どこかに書いてないかな?
知りたいんですけど!

ここからは、ちょっと皮肉屋の私が登場します。
せっかくの夢物語に水を差すようで申し訳ありません。
ただ、じゅうぶん大人になってしまった私には、“?” が残るのです。
登場人物の中心は、ほぼ女性。(パティシエは男性ですが)
そして、家庭を持った娘たちは、みんな 心地よいこの街に戻ってきます。
同居したり すぐ近くに家を建てたり、親にとっては 幸せなお話。
我が家には男の子も女の子もいますが、
男の子しかいない親は、どう解釈するのでしょう?

人と人が心静かに平和に暮らすためには、適度な距離感が大切かな?
あ~。 水差しちゃったかなぁ…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 原田 マハ
感想投稿日 : 2022年7月24日
読了日 : 2022年7月24日
本棚登録日 : 2022年7月24日

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