マチネの終わりに

著者 :
  • 毎日新聞出版 (2016年4月9日発売)
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大人のための極上の恋愛小説。
                                  
主人公の蒔野は天才ギタリスト。
レコード会社担当者と演奏を聴きに来た洋子に、ひと目で惹かれます。
そして初対面での会話が、二人を特別な世界に連れて行ってしまいます。
分かるような気がしました。
時間を飛び越えて、一瞬で感性が響きあう感じ。
                                                                                                                                    
ただ、洋子には申し分のないフィアンセがいました。
彼女自身は、世界を駆けめぐって活躍するジャーナリストで、
政治情勢や歴史にも詳しく、何か国語も使うことができる才媛。
「女性の知性に色気を感じる」
これは平野氏の言葉です。
                                                                                                                                                             
洋子がジャーナリストという設定もあり、
社会問題もいくつか盛り込まれています。
例えば、長崎の被ばく、バグダットの自爆テロ、
リーマンショック、そして東日本大震災。

平野氏の過去の発言に、素敵な言葉がありました。
愛とは、「その人といる時の 自分 が好き」ということもできる。
その人を失うことは、その人の前でだけ生きられていた自分を失うこと。
好きな自分を見つけられれば、それを足場にして生きていける。                                                                                                                                       
                                                                                                                                                        2年前に観た映画の印象とは、いい意味で少し違っていました。
その時に聴いた《幸福の硬貨》のテーマ曲が素敵で
読んでいる間、頭の中でずっとギターが鳴り響いていました。
久しぶりの恋愛小説、しみじみ よかったぁ~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 平野 啓一郎
感想投稿日 : 2021年12月12日
読了日 : 2021年12月12日
本棚登録日 : 2021年12月12日

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