オリーヴ・キタリッジの生活

  • 早川書房 (2010年10月22日発売)
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感想 : 76
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巨体で尊大なメイン州の教師・オリーブ・キタリッジの50代から70代(だったと思う)にかけての日々を、彼女が主役だったり脇役だったりしながら紡いでいく短編集。

このオリーブが魅力的で、私の口の悪い田舎の伯母さんを髣髴とさせる。
ずけずけ物を言って、でも人並みに傷付きやすく、時に誰かの救いになったりする。
夫や息子との間には深い葛藤があり、特に息子とのくだりは息子を持つことの怖さすら感じる。
彼女に近く、彼女が愛する人ほどぎくしゃくしてしまう切なさ。

どの話の登場人物もだいたいちょっとずつ不幸で、
だからこそささやかな光も温かく感じられるのだろう。
一番好きだったのは教え子の夫の葬儀に行く話。
メイン州の物語がスティーブン・キング以来に読めたのも嬉しいところ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年11月17日
読了日 : 2014年11月17日
本棚登録日 : 2014年11月17日

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