寺社勢力: もう一つの中世社会 (岩波新書 黄版 117)

著者 :
  • 岩波書店 (1980年4月21日発売)
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顕密仏教を中心とした「寺社勢力」に焦点を当てて日本中世社会を描く日本中世史の古典的名著ともいえる作品。著者の黒田俊雄が提唱し、日本中世史の定説的存在となっている「権門体制論」の良き入門書ともなっている。
本書の中で、嗷訴の際に最初はハプニングで神輿を捨てて逃げたのが、かえって朝廷が神慮をおそれ要求にも譲歩し、神輿を造り替えて奉送することがあってから、神輿を「振捨て奉る」のが常套手段になったが、朝廷も対抗策を考え、神輿・神木を丁重に奉安する場所ともったいぶった作法をつくり出し、それが先例となって嗷訴が儀式化していったというエピソードが非常に興味深かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年7月18日
読了日 : 2019年7月14日
本棚登録日 : 2018年12月7日

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