ツリーハウス

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年10月15日発売)
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感想 : 272
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角田光代さんは作家の中でも好きな方でしたけど、この『ツリーハウス』は今まで読んだ角田さんの本の中でも一番良かったです。

この物語は大河ドラマと言ってもいい。ただ、歴史を動かしたような、あるいは作ったような人物ではなく、時代の大きな流れに流され、あるときはその濁流から逃れ、逃げて逃げて、その日その日を生き抜いて行った、言わば歴史に翻弄されつつ生きてきた人々の物語。時の流れのなかで祖父母、父母、子供達の3代が生き抜いてきたその証しだ。カッコイイ、人が羨むような人生ではないのだろう。だが、この人達の物語は胸を熱くさせ、深い共感を呼び起こす。

私自身、異国の地に住んでいるので、祖母のヤエの言葉も身に染みて感じました。私自身も、ずっと、根無し草のように感じてきたけれども、過去を悔いたこともあったけれど、この本に出会えたお陰でもう悔やまないし、迷わないで行けそうな気がしてきました。角田光代さんがますます好きになりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年3月5日
読了日 : 2014年3月5日
本棚登録日 : 2014年2月23日

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