少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2009年3月25日発売)
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『たいへん遺憾ながら“いんらん”の平凡な容姿の母の元大変美しく生まれてきてしまった』川村七竈は群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼なじみの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。
(一部あらすじから引用)
「だって、先輩。十七歳から十八歳の間に、いったいなにが起こるの?わたしまだこれからだからわからないのかな。でもクラスの友達も、なんだか浮き足たって。急に恋に目覚めておとなっぽくなる子もいるし、長くつきあってたカップルが、別れたりもしたわ。進路を決めたり、いままで近かった友達を、急に遠く感じたり。びっくりするほどいろいろ変化するから、わたしよくわからないの。川村先輩、ずっと、ここに、いてほしい」
 雪風を愛し、七竈を恋敵として見ていた緒方みすずの一説。周りが大人になってゆくのに、自分だけが取り残されていく不安を本当に愛おしかった美しい先輩たちには変わってほしくないという気持ちからの言葉なのでしょう。私は緒方みすずという人間が好きです。
 解説にもありましたが非常に人間らしい子です。だからこそ愛おしい。
 魅力的ではあるのだけれどどこか生気といいましょうか、みすずに対しても、他人においても距離を置いて話す七竈とはまた違ったしゃべり方をするのです。非常に近いのです。近親感がわくのです。

 それでも七竈は少女から大人へとなる、長らく友として同じ趣味を分かち合った雪風を残して母すらも描けなかった自分の道を進む。7回燃やして灰になりたかった川村優奈に七竈のことを教えてくれた田中教諭はこのせかいにはもう居ない。
 旅人だった母はもうどこにもおらず、優しい祖父とビショップと共に暮らしてゆく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年9月14日
読了日 : 2011年9月14日
本棚登録日 : 2011年9月14日

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