しをんちゃんって、本読みの“後ろめたさと開き直り”を書かせたら天下一品だね。(*^_^*)
帯にも引用されているんだけど、「口を開けば、本と漫画の話ばかり」と。
そして、続けて「ほかにするべきことあるだろう、掃除とか洗顔とかダイエットとか」。
あはは、ホントだよね!と自分の身に照らして苦笑いする主婦がここにひとり。
もちろん、しをんちゃんにはかなわないけど、(というか、この場合、勝ってるけど、というべきだろうか。)私ってば、この本を読まなかったら今日はジムに行けたよね、とか、洗面所の棚の整理ができたなぁ、とか・・・。
本が好き、というと、世間では「偉いね」なんて言ってくれたり、子どもをいかに本好きにするか、と苦心する親や学校の奮闘ぶりが新聞に載ってたり。
でも、小さいころから「本ばかり読んでないで勉強もしたら」とか、「たまには部屋を片付けなさい」と母親から言われたしょうもない娘だった私がそのまましょうもない主婦に・・・。
だから、実生活では本が好きです、なんてとっても言えない。
で、こちらのような読書サイトで、お仲間の皆さんのレビューを読ませてもらったり、本の話で盛り上がったりするのが楽しくてたまらないわけなのだけど、しをんちゃんの“好きな本だけを集めた書評集”である本書の楽しかったことったら!!
既読、未読の本、それぞれが光り輝いていて、そっか、この角度から見るともっと面白いのか、と再読したくなったり、何?何?全然知らない本だよ、すっごく面白そうじゃん!とか。
これから読む本リストに、ドサドサと何冊もストック。きゃぁ~~、宝の山を確保しちゃいましたよぉ~~。
既読本の中から一冊ピックアップすると、
10代のころ何度も読んだ「駆込み訴え」(太宰治)は、あの勢いと片思いのような切なさがとても好きで、でも、なんでこんなに惹かれるのか、は言葉にできなかった。
それをしをんちゃんは、太宰の口述筆記に絡む鋭い考察を述べたあとで、
「太宰治はたぶん、語り手の男に同情し共感して、『駆込み訴え』の執筆に取りかかったのだろう。だが作品を編みだす手さばきからは「神業」としか言いようのない輝きが迸っている。語り手の男が愛し憎まずにはいられなかった、キリストが纏っていただろう輝き。だれにも十全に理解されることなく、弟子の裏切りをも受け入れた男の放つ光。
卑屈と崇高。裏切りと受容。二律背反する人間の精神を『駆込み訴え』は表現しつくしている。太宰治の孤独と、物事を一面からだけ見るのはよそうとする優しさと茶目っ気(ツッコミ精神)とを味わえる傑作だ」
と。
しをんちゃんったら、こんなにシンプルな言葉で長年私の頭の中で整理しきれなかったこの作品への思いを表してくれちゃって!
今年の本屋大賞の授賞式でお目にかかった三浦しをんさんは、とてもお洒落で(エスニック風のお洋服がよくお似合い&ネイルの素敵だったこと!)、また、この日の主役だというのに、私がここにいていいんでしょうか、みたいな迷子のような表情、でも、読者です!と申し上げて「舟を編む」の感想を言わせてもらった際の、「ありがとう~~~!嬉しい~~!」という笑顔が可愛かった!(*^_^*)
本の世界に耽溺する危うさと楽しさ。うん、素人本読みながら、たまらない一冊でありました。
- 感想投稿日 : 2012年12月4日
- 読了日 : 2012年12月4日
- 本棚登録日 : 2012年12月4日
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