BEASTARS(16) (少年チャンピオン・コミックス)

著者 :
  • 秋田書店 (2019年12月6日発売)
4.17
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本棚登録 : 699
感想 : 24
4

レアノがどれだけ不安で苦しい日々を送っていただろうかと思うと
気の毒で仕方ない。
自分のことを思えばレゴシが12歳になってもまだ安心出来ない気もするが
開き直ってハーフの姿で生きることも難しかっただろう。
ハーフの出方もメロンのようならまだ良かったが、チグハグだったようだし。
誰もどうしてあげることもできないことなのが余計に辛い。


最後にお別れをしに来た レアノ を抱きしめ返さなかったことを
レゴシは後悔しているが、それがレゴシの優しさであり
それを レアノ は理解している。
レアノ が、
「生きていれば後悔の連続なのは当たり前。
それを自分なりにチャラに出来るのが人生。
自分の人生も後悔の連続だったけれど、レゴシを産めただけで100点満点」
という言葉がとても温かく、嬉しい。
「私とおじいちゃんの血を引いたあんたはどんな完璧な血統のオオカミより
強く優しくなれる」
その言葉はきっと、この先もレゴシを慰めるだろう。
レアノ は自分の容姿を醜いと思っても、血を憎んではいなかった。

相変わらずレゴシの行動は斜め上で、なんで病院を抜け出すのか
という気持ちではあるけれど、
相手は軽い気持ちでしてくれたこういう夜中に食べた
サービスをつけてくれたそうめんの味は多分ずっと心に残ると思う。

心の声がなくて直結で口から出てしまうジュノちゃんがかわいい。
ジュノちゃんが初めて登場したときは、
まさかこんな展開になるとは思わなかった。
ルイはレゴシに恋する時に目に入る存在に過ぎないと思っていたが
レゴシにぐいぐい行っていたジュノより可愛らしく見える。
多分ルイにとっても貴重な関係だ。

ルイ先輩を好きになって食欲が増してしまうとは、確かにレゴシしか相談できないディープな悩みかもしれない。
固有の種を残すことが国を挙げて祝福されるという設定、なるほどと思う。
私の幸せは、私が決める。自分で選ぶと言っていた初期の頃からぶれていないし
テレビカメラの前で言えてしまう無鉄砲さはジュノの魅力のひとつだ。

ヒョウの模様を消すために入れ墨というのは興味深い発想だが
レゴシが斜め上の行動を取るのはお約束とは言え
未成年なのに入れ墨を入れて、しかも日付を入れるなんて。
どうしようか悩んでるふりでもすればいいのに。
せめてハルの誕生日にでもしてくれたら良いのにな。
自分のことをもっと大事にするのではなかったのか。

優しいレゴシはその分どこか甘いところがあって
それが良いところでもあるのだけれど、
その度危うい目に遭うのは読んでいて怖くなる。
今回は悪は本当にある、と言っていたけれど
この先に何か影響が出てくるだろうか。


海に落とされるというときでも、30分以内に戻ってこれたら
と交換条件を出す辺りも本当に予想外だ。
自分の腕力なら拘束を解けるといった勝算があった訳でもなく
結構運次第な作戦でびっくりした。

ゴーシャさんはとても好きだ。
本当にとても心優しい人だ。
無事で居て欲しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2024年1月13日
読了日 : 2023年6月2日
本棚登録日 : 2023年6月2日

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